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動物情報保護活動

シャープゲンゴロウモドキの幼虫を県内の保全地に放流
絶滅危惧種の保全活動へ協力

2019年4月14日(日)に飼育下で保護・繁殖した絶滅危惧種の水生昆虫、シャープゲンゴロウモドキの幼虫を県内の山間部にある保全地に放流しました。

鴨川シーワールドでは、2010年2月より千葉県シャープゲンゴロウモドキ保全協議会(事務局:千葉県環境生活部自然保護課)の一員として、シャープゲンゴロウモドキの保全活動を推進しています。2010年2月に辻功氏(千葉シャープゲンゴロウモドキ保全研究会)より6個体(雌雄各3)を譲り受けて水族館での繁殖活動(生息域外保全)を開始し、千葉シャープゲンゴロウモドキ保全研究会とともに試行錯誤を重ねながら、これまでに約1400個体にのぼる生息域外保全個体を確保してきました。2019年も2月28日に今年初めての幼虫のふ化が確認され、4月13日現在114個体がふ化しています。この間に地元地権者の協力も得ることができ、千葉シャープゲンゴロウモドキ保全研究会、千葉県生物多様性センターらによる保全地の整備なども進んだことから今回、幼虫および成虫を辻功氏の域外保全個体とあわせて105個体を再導入しました。幼虫は、今後 蛹(サナギ)の段階を経て約25日で成虫となり、翌年の早春には産卵をすることが期待されます。

※当館で繁殖した個体の一部はエコアクアロームの「房総の里山」水槽でも展示しています。

シャープゲンゴロウモドキについて

体長3cmほどのゲンゴロウの仲間で、日本ではゲンゴロウに並ぶ代表的な大型種。関西型と関東型が亜種として認められ、どちらも一時は絶滅したと考えられましたが、1984年に千葉県富津市で再発見され、その後日本海側の数県でも生息が確認されていました。関東地方では房総半島の一部でしか生息が確認されておらず、全国的にも埋め立てなどの開発、圃場整備、侵略的外来種アメリカザリガニの侵入、乱獲により各地で激減したため、環境省のレッドリスト(2019年公表)では「絶滅危惧種ⅠA類(CR)」(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)、2011年には、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)*で定められた国内希少野生動植物種に指定され、許可なく捕獲、殺傷や損傷、販売を含む譲渡、輸出入等を行うことが禁止されています。しかし、法指定後も、野生での個体数は全国的に年々減少を続けており、特に関東型は絶滅の危険性が非常に高いと言われています。そのため、生息地の保全再生、域外保全個体による個体群の補強や再導入が必要です。

「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)

国内外の絶滅のおそれのある野生生物の種を保存するため、1993年4月に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)が施行されました。種の保存法では、国内に生息・生育する、又は、外国産の希少な野生生物を保全するために必要な措置を定めています。

シャープゲンゴロウモドキ(幼虫)
シャープゲンゴロウモドキ(成虫)
エコアクアローム「房総の里山」